インクの吐出量・印刷濃度について
インクの吐出量・印刷濃度について
インクジェットプリンターの印刷の濃度はヘッドから吐出されるインクの量でコントロールされますが、吐出する量と濃度は比例するわけではありません。
濃度の低いところは吐出量変化に対する濃度の変化も大きくなりますが、濃度が濃くなればなるほどその変化量は小さくなっていきます。つまり薄い部分の色調整は敏感に、濃い部分は大胆に調整しなければならないということです。
RIPソフトでインクの吐出量(色調整)を調整する機能は多数あります。全体的な吐出量設定、縦軸・横軸(x・y)のグラフでの調整、コントラストの調整、プロファイルの設定などなどきりがないのですが、これらは一応標準的な設定がありますので通常の印刷はこれらの設定の中から選択すれば問題はありません。
インクジェットプリンターに搭載されているインクは元々それほど濃いインクでもなく、とびきり鮮やかなインクでもありません。基本的にCMYKの4色だけで全ての色を表現しなければならないので「普通の」濃度・彩度のインクしか使えないのです。濃すぎるインク・鮮やかすぎるインクでは「食べ物の色」、「人物の肌の色」など人間の目が最も敏感になる「自然」の色は表現しにくいのです。
従ってこれらのメーカー標準の通常の設定では特別な濃い色、鮮やかな色は表現できないことになります。屋外のサインというのは元々「目立ってナンボ」のものですので濃い色・鮮やかな色は結構必要とされます。
特に「赤色」を出すためのマゼンダ(M)インクは濃度不足を感じることがよくあります。マゼンダ(M)インクは大概のメーカーで濃度が足りません。
「2回刷り」すればもちろん濃く出せますが、実用的ではありません。インクが2倍出るのはいいとしても、時間が2倍かかってしまいます。
当社ではRIPソフトの設定でインクの吐出量(特にマゼンダ)を可能な限り増やして濃い「赤」等を出すようにしています。
初めの方にも書きましたが、インク量を2〜3倍にしても色が濃くなるのははっきり言ってわずかです。それに吐出量を多くして設定するとヘッドの吐出能力が追いつかず印刷品質が持続しない危険性もあり、乾燥のためにヒーター等の設備も余計に必要になってきます。
手間も費用もかかりますが数百㎡という大きさで施工して完成したものをみると明らかに迫力が違ってきます。インク代だけでも1㎡当たり1000円近くかかってきますが、得られる満足感には替えられませんしお客様にも喜んでいただけると思っています。